貴重な機会を得ました。
それは2週間ほど前です。
場所は、広い柿畑です。
どのくらいの面積があるのか、〇〇アールとか〇ヘクタールとか言われても私にはわからないのですが、見渡す限り柿、柿。
その柿畑越しに富士の峰がぼんやりと顔を見せていました。
函南町畑毛というところです。
ここで「農の匠塾」が開講されました。
主宰は静岡県東部農林事務所、今回の講師は昨年度「農業技術の匠」として静岡県から推薦され農水省にみごと選定された山本光男氏。
認められた技術は「柿の大果品種栽培と省力機械化の体系実現」
1個700gもある大きな柿を、自在に作ることができる技術をお持ちとのこと。
60年近く農業に従事され、さまざまな経験と努力を積み、考える農業者として大成されました。
そのモットーは「生活が成り立つ農業」、つまり儲けがある農業です。
ご自身からのそのような表現はありませんでしたが、言葉の端々にそれが見えました。
知っていることは何でも教えます、訊いて下さい、とも。
業としての農を広げようとのお気持ちが強く伝わってきました。
受講生は、募集が20人に対して実際は31人。
実際農業に従事、または従事したいと予定している人はわずかで、殆んどが家庭菜園程度、という人の集まりになりました。
県が目的とするところとは違ってしまったのかもしれませんが、これが現実なんでしょう。
私も農業者予備軍ではありませんが、家庭菜園にもプロの技術を取り入れることができれば、と思い申し込んだのです。
たぶん他の参加者も同じでは。
その日教わったことは、接木でした。
接木とは
・台木の生長点(形成層)と穂木の成長点をつなぎ合わせて、望みの品種を早く多量に増やすための技術である。
それによって
・新品種の更新ができ、望みの品種を早くならせることができ
・病気などにも強くなり
・1本の木で何種類もの品種をならせることもできる
などの非常に魅力的な技術であること。
上手にできるようになるととても面白そうです。
接木に必要な道具は
・接木用のナイフ
・接木テープ
・防菌、防乾燥用の粘着材(商品名はカルスメイト)
・食品ラップ
・やり方によっては木工用ボンド、マイナスドライバ、彫刻刀
どれもそれほど高価なものではないので、その点でもとっつき易いです。
接木の方法は
A 切り接ぎ
B 割り接ぎ
C はぎ接ぎ
D 腹接ぎ
E 芽接ぎ
F 呼び接ぎ
接ぎ穂は、2月ごろ切り取ってポリ袋に入れ冷蔵保存し
4~5月上旬に台木に接木するのです。
秋にもできますが、そのときには接ぎ穂の保存はせずに直接接ぐのだそうです。
当日実地で教えていただいた方法は、割り接ぎとはぎ接ぎ。
中学校の理科の時間のように、植物の構造を輪切りにしたものを大きな紙に、講師自身が書いて説明してくれました。
よく分かりました。
こういうことがちゃんと頭に入っていれば、普段野菜や果樹の管理をいちいち聞いたり見たりしなくても、応用でやれるのじゃないでしょうかね。
わかったら忘れないようにしよう!
講義の後は山本氏の柿の木をお借りして、接木の実習です。
おっかなびっくりで、でもわいわいと楽しく一人当たり2,3本の接木をしました。
大勢で畑の中を走り回り、土を固めてしまって、大丈夫だっただろうか?
接木の枝には作業をした人の名札がぶら下がっているので、何ヶ月後かにはその技術の結果が分かるのです。受講生としての成果が試されるのです。
去年の春に私も半漁クンに教わったり本を見たりして、我流で何十本かの接木をした経験があるので、興味がありました。だから先生の話の内容もそれなりに理解できたように思います。
腹接ぎでしたが、その結果ちゃんと繋がったのは1/10くらいでした。
ずいぶん低い確率です。
カルスメイトの存在も必要性も知りませんでしたが、それ以前に基本がわかっていなかったかな?
幸い今、教材はいっぱいあり、増やしたい品種もあります。
昨日、専用のナイフとカルスメイトを買ってきました。
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